繰延税金資産には客観性がどれだけ有るのか

税効果会計で使われている「繰延税金資産」の計上額に関しては、企業の主観的意見が多く含まれている事が分かっています。ではどれだけ税効果会計の「繰延税金資産」には客観性が有るのでしょうか。

 

例を挙げてみると、A社と言う会社が有るとします。そこではB事業とC事業と言う2つの事業を行っています。業績を見てみるとB事業に関しては毎年黒字計上になっています。しかしC事業に関しては毎年赤字計上になっています。この赤字計上を受けてA社には繰越欠損金がたまってしまっていると考えます。こう言ったケースの場合は、繰越税金資産の回収可能性が低いと判断される為に、繰延税金資産として計上する事は出来ないと言う事になります。

 

それでは、A社の財産的価値を評価するとした場合、繰延税金資産が計上されていないので考慮しない様にする事が正しいと思うでしょうか。実はそうではないと考えるのが普通だと思います。それは何故かと言うと、他のX社と言う会社がA社の黒字計上されているB事業を引き継ぎたいと考えているとします。X社から見ると、B事業の将来減算一時差異と言う金額は、税務上財産的価値を評価するとても大切なポイントになると考えられます。

 

また、赤字計上されているC事業を手に入れたいと考えているのであれば、C事業で計上されている欠損金による税金面の影響を考えない事は出来ないと思います。この様に考えて見ると、第三者から見てみると、A社の繰延税金資産を計上しないと言う様に評価するのは少し違うのではないかと考えられます。